少年の姿とは思えない強い力で手を引かれ、部屋に入るなりリューは扉に鍵をかけてしまった。
 締め出されるかたちになったメリーの怒声が廊下から聞こえてくる。

「メリーが、」

 言いかけて息を呑む。リューが元の大人の姿に戻っていたからだ。

「ちょっと、バレたらどうするん……っ!」

 いきなり強く抱きすくめられたかと思うと噛みつくようなキスが降ってきて驚く。
 わけがわからないまま口内にぬるりと舌が入ってきてびくりと身体が震えた。
 ……でも、流されるわけにはいかない。

「ん~っ!」

 抗議の声を上げながら彼の胸を渾身の力で押しやる。

「――っ、何を怒ってるんですか!」

 強引なキスにそこはかとない怒りを感じ距離をとって訊くと、リューは不機嫌そうに口を開いた。

「あの第三王子、コハルに気があるだろう」
「は!? そんなわけ」

 ない、と続けようとして、ふいに先日のカネラ王子の言葉が蘇った。

 ――個人的に君にまた会いたかったっていうのもあるんだけどね。

(や、でもあれは深い意味はないはず……)

 あのカネラ王子が私に気があるなんてありえない。