「メリー! ローサにも癒しの魔法をかけてあげて!」
「お安い御用なのです~!」
「い、いえ、わたくしはそんな」

 慌てて遠慮しようとしたローサの周りをメリーがくるくると踊るように回る。
 ローサの全身がキラキラとした輝きに包まれて、彼女は驚いたように己の身体を見回した。

「これは……素晴らしい力ですね。ありがとうございます。メリー様」
「えっへん! そこの竜帝の弟だかなんだかよりもメリーの方がずーっとコハルさまのお役に立てるのです!」
「あ?」

 リューがソファから立ち上がり、そしてふたりはまた睨み合い、というよりメンチの切り合いを始めてしまった。
 はぁと重い溜息を吐く。でもメリーは「竜帝の弟」という設定を一応受け入れてくれたみたいだ。

 と、そんなふたりを見ていたローサが小声で言った。

「まるで陛下とメリー様を見ているようですね」

 ぎくりとする。

「りゅ、竜人族と妖精って相性が悪いみたいだからね!」
「ですが、なんだか少し微笑ましいですね」

 ふふふとローサが手を口に当てて微笑んで、まぁ確かにリューが小さいせいでそう見えなくもないけれど……と私はもう一度小さく息を吐いた。