「いかがですか? コハルさま」

 心配そうに訊かれて、私はひっくり返らないよう気を付けてハンモックから下りた。
 頭を振って、大きく深呼吸をする。
 眩暈も、胃のムカムカも、手足の痺れもない。
 
「うん、いい感じ。ありがとう、メリー!」
「お役に立てて良かったのです~!」

 思った通り、メリーの癒しの魔法は船酔いにも効くみたいだ。
 あの気持ち悪さから解放されて嬉しくなった私はメリーを思いっきり抱きしめる。

「良かったな、コハル」
「はい!」

 ソファに座ってこちらを見上げるリューに私は大きく頷く。
 と、腕の中から低い声が聞こえてきた。

「それで、コハルさま。なんでこいつがここにいるのですか?」
「え? あ、あ~……」

 どう説明しようかと考えていると、メリーは私の腕から飛び出して小さなリューに向かって怒鳴った。

「しかもなんであの頃のクソガキに戻ってんだお前えぇーー!!」
「メリー! 声が大きい!」

 慌ててしーっと人差し指を立てる。