「俺が竜帝になったら、お前を妃に迎えてやってもいいんだからな!」

 別れ際、必死な顔でそう言ってくれた彼にびっくりして、でも嬉しくて。

「あはは~。それまでリュー皇子が私のことを覚えていたら良いですよ~」

 そう笑いながら答えると、彼はその金の瞳を大きくし更に顔を紅潮させた。

「本当か!?」
「はい」
「約束だからな!」
「はい。だからリュー皇子、お父さんみたいな立派な竜帝陛下になってくださいね」

 私がそう言うと、彼は任せろというふうに胸を張って見せたのだ。
 その姿が本当に可愛くて可愛くて……。


「コハル」


 ――え?

 いつの間にか、竜を思わせる金の瞳がすぐ傍にあった。
 可愛かった少年は、色気ダダ漏れの男の人に変わっていて。


「もっと、コハルのことを深く知りたい」


「~~~~っ!?」

 自分でもよくわからない悲鳴を上げながら私は飛び起きた。
 はぁはぁと肩を上下させながら、起き掛けで混乱した頭を必死に巡らせていく。

(ゆ、夢……? え、どこまでが夢……?)

 あの異世界にもう一度召喚されて、成長したリュー皇子にいきなり求婚されて、会社をクビになって、合コンで悪酔いして、なぜかリュー皇子がこちらの世界に現れて……。
 そこまで記憶を辿って、でもそこで今寝ているベッドが自分のものでないことに気付いた。