「でも本当にびっくりしたよ。ローサが竜騎士だなんて」

 照れ隠しにいつもの調子で言うとローサはふふと微笑んだ。

「わたくし、元々竜騎士志願だったのですよ」
「そうだったの?」
「はい。ですが陛下より侍女としてコハル様のお傍につくようにと仰せつかりまして。コハル様をこの竜の城にお迎えするまでに侍女としての仕事や礼儀作法など必死で覚えました」

 驚いた。
 ローサは侍女として完璧に見えたし、ベテランなのだと思っていた。

「ですから、正直申しますと、この護衛のお話を戴いたときには心が躍りました」

 そう少し潜めた声で言った後、ローサは侍女ではなく竜騎士としての自信に満ちた笑みを私に向けた。

「これこそがわたくしの本領。全身全霊をかけてコハル様をお守りいたします」

 大袈裟でなくその格好良さに痺れた。
 顔が少し赤くなってしまったかもしれない。

「メリーも! メリーもコハル様を全身全霊でお守りするのです!」

 そのときメリーが慌てたように私の目の前に飛んできて胸を張った。
 竜騎士のローサと妖精のメリー。なんて心強い旅の仲間だろう。
 私は胸が熱くなる思いで、そんなふたりにもう一度ありがとうとお礼を言ったのだった。