初めてではないのだから、身体的にも気持ち的にも少しは余裕があるだろうと思った。
 でも全然、そんなことはなくて。

(やっぱり、めちゃくちゃ恥ずかしい……!)

 前回は月明かりだけだった。今回は部屋の灯りもあって、より相手のことがはっきりと見える。
 改めて間近で見るリューは本当に綺麗に整った顔をしていて、身体は無駄なく引き締まっていて、そんな完璧な人の前で自分の全てをさらけ出しているのだ。恥ずかしくないわけがない。

「――っ、リュー、それ嫌です」

 じゅっと音を立てて首筋にキスを落とされて、慌てて手でガードする。
 すると彼は不満そうに眉をしかめた。

「その、痕が付いて恥ずかしいので……」

 先日付けられた痕、キスマークは結局消えるまでに数日かかった。
 その間ずっとローサが気を利かせて首元を隠すドレスを選んでくれていたのだ。
 それを知ったときの恥ずかしさと言ったら……。