――まぁ、個人的に君にまた会いたかったっていうのもあるんだけどね。

 上目遣いでじっと見つめられたまま沈黙が続いて、自分の口元が徐々に引きつっていくのがわかった。

(えっと……?)

 つい数時間前にも「またお会い出来て嬉しい限りです」と言われたけれど、あれは社交辞令で。……社交辞令のはずで。
 でも今、おそらく素であろう彼の口から出た今の言葉は……?

「なのにさ~」

 ゴンっ、と音を立てて彼は再びテーブルに突っ伏してしまった。

「なんなの竜帝のあの態度。めちゃくちゃ敵意剥き出しじゃん。なにあれ牽制? 俺への牽制なわけ? 怖ぇ~。竜帝は怖ぇって聞いちゃいたけどマジで怖ぇ~~」

 ブツブツとぼやく声がくぐもって聞こえてきて、アハハ……と乾いた笑いが漏れる。
 ……でもお蔭で、妙な空気は霧散してほっとする。

「――まぁ、それは置いといてさ」

 そんな軽い言葉と共に彼は身体を起こし億劫そうに椅子から立ち上がった。