「というか、すみません。正直言うとなんかムズムズするので、出来たら以前のようにお話ししたいんですが……ダメですか?」
そうお願いすると、少ししてカネラ王子はふぅと息を吐いて目を伏せた。
「……やっぱり、変だった?」
力なく笑って彼はコテンと首を傾げた。
それは先ほどまでの作られた笑顔ではなくて。
(カネラ王子だ)
その覚えのある気怠げな雰囲気に安堵して、私も肩の力を抜く。
「いえ、王子様としてはあれが普通なんだと思うんですが、私は7年前の王子を知っているのでどうしても違和感があって」
「そっかぁ。まぁ、そうだよねぇ。俺もやってて違和感半端なかったし。あ~~疲れた」
彼は手近な椅子を引いて腰掛け、そのままテーブルに突っ伏してしまった。
……そりゃあれだけ自分を作っていたら疲れもするだろう。
と、彼がその体勢のままちらりと私を見上げた。
「聖女サマは、本当に竜帝と結婚するの?」
「え?」
「いやぁ、意外でさぁ。それもなんかめちゃくちゃ愛されてるみたいだし? どうしてそういうことになったの?」
「え……」
まさかの質問につい顔が熱くなってしまった。