そして、その後すぐにカネラ王子とふたりで話す場が設けられた。
 場所は先ほども使われた会議室だ。

「それでは、カネラ殿下をお連れいたしますので少々お待ちください」
「お願いします」

 セレストさんが一礼して会議室を出て行き、私は一息つく。
 窓の外はもう暗い。窓際に寄ると、城内の灯りに照らされてベルデさんがお世話してくれている花壇が見えた。

(ここから私とベルデさんが話しているのが見えたんだ)

 リューが会議後に急に不機嫌になったときのことを思い出して微笑んでいると、ドアがノックされた。
 はい、と返事をすると扉が開いてカネラ王子が中に入ってくる。
 扉が閉まり、彼は私に向かって丁寧に頭を下げた。

「聖女様、この度は私のために時間を作ってくださりありがとうございます」

 そんな仰々しいとも思える態度にやっぱり違和感を覚えて、私は口を開く。

「私しかいないので、そんなに畏まらないでいいですよ」
「え?」

 カネラ王子が不意を突かれたように顔を上げて目を瞬いた。