リューは私を大事にしてくれている。愛してくれている。
 その気持ちは有難いし、嬉しい。でも――。

「カネラ王子とふたりで話をさせてください」
「!?」

 肩を掴んだまま身体を離し、リューは怖い顔でこちらを見下ろした。

「ダメだ」
「話をするだけです」
「後ほど晩餐の席を用意する。そのときに話せばいい」
「ふたりで話したいんです」

 肩を掴む手に痛いほどの力が入る。
 それでも私は彼の瞳を強く見返して続けた。

「魔王の復活はなんとしても阻止しなくてはならない。ですよね? 竜帝陛下」
「……っ」
「カネラ王子と話をさせてください」

 もう一度同じ言葉を繰り返す。
 しばらく見つめ合った……いや、睨み合った後で、リューはゆっくりと私から手を離した。

「……わかった。だが15分だけだ」
「ありがとうございます。充分です」

 お礼を言ってから見上げると、またあの不貞腐れた顔があって苦笑する。