会議が終わったという知らせを受けたのは日が沈みメリーがうとうとし始めた頃だった。
 文字の勉強をしながら待っていた私はすぐに自室を出てリューの執務室へと向かう。
 と、その途中。

(あっ)

 廊下にカネラ王子の姿があった。セレストさんも一緒だ。
 向こうも私に気付いたようで足を止め恭しく頭を下げた。

「これは聖女様。……いえ、もう竜帝妃殿下とお呼びした方がよろしいでしょうか」

 その丁寧な言葉遣いと微笑みに、どうしても違和感を覚えてしまいながらこちらも笑みを作る。

「どちらでも。今日はこの城に泊まっていかれるんですか?」
「はい。竜帝陛下のお心遣いに甘えさせていただき、明朝発つ予定でおります」
「そうですか」

 砂漠の国の状況など訊きたいことはたくさんあったけれど、セレストさんもいるこの場で下手な話は出来ない。