(リューが、魔族……?)

 私は目を瞬く。

「え、でもリューは竜人族じゃ……」
「竜はその気高さから神と崇める者もいるが、一応魔物だからな。その血を引く俺は一応魔族というわけだ」

 彼は軽い調子で言いながら椅子から立ち上がった。

「だから、未だに俺のことを毛嫌いする奴らは多い。妖精や花の王国の奴らは特にな」

 ――奴が竜人族だからです!

 いつかのメリーの声がふいに蘇った。なんでリューを嫌うのかと訊ねたときに返ってきた言葉だ。
 そして7年前、助けを求めにきたリュー皇子の言葉をなかなか信じようとはしなかった花の王国の人たち。
 あの頃は皇子のあの性格ゆえだと思っていたけれど、ひょっとして彼が竜人族――魔族だからという理由もあったのだろうか。

 そんなことを思い出していると、リューがこちらを見てふっと笑った。

「俺が、恐ろしくなったか?」

 ――!

「……なんでですか」

 思わず強い口調で訊き返していた。
 椅子から立ち上がって彼の前に進み出る。