――7年前。

「あんたが例の聖女サマ?」

 海を渡り砂漠の国に到着した私を港で出迎えてくれた彼は、そう言ってコテンと首を傾げた。
 そんな彼の第一印象は「なんだこいつ」である。

 確かにこれまでこの異世界で私を手放しで歓迎してくれたのは私を召喚した花の国のティーアくらいなもので。
 大抵の国では本当にこの女が?という顔でじろじろと値踏みするように見られ、とりあえず表向きは歓迎のかたちをとるという応対を受けていた。
 でもその頃は自分でも聖女だなんて半分信じていなかったし、相手の立場だったら自分もそういう態度になるだろうなぁと思っていたからそんな失礼な応対も納得して受け入れていた。

 でも彼はそのどちらでもなく。

(なんというか、全く関心なさそう)

 怠いけど仕方なく迎えに来たという感じが全身からにじみ出ていた。
 お付きと思われる人が背後に数人いて、そこそこ身分の高い人なのだろうということは伺い知れたけれど。

「はい。一応……」

 なんとなくちゃんと答えるのも癪な気がして、私もそういう曖昧な答え方をしたと思う。