夢を、見ていた。

 目の前のベッドに誰かが苦しそうに横たわっている。
 リューだ。
 まだ幼さを残した彼が、赤い顔でうなされている。

 これは7年前の夢。

 そこは花の城の一室だった。
 助けを求めるために命からがら国を出て来たリューは、花の王国に到着し少ししてから高熱を出し倒れた。
 この頃のリューはまだ私に全然心を開いてくれていなくて。

「お前が聖女? 冗談だろう」

 そう鼻で笑われたこともあった。

「俺はお前みたいな余所者には絶対に頼らん。足手まといになるだけだ。ついて来るな」

 そう拒絶されたこともあった。

 腹が立ったし悲しくもあったけれど、なぜか私は彼を放ってはおけなかった。
 もしかしたら、ひとり精一杯虚勢を張って立っている姿が幼い頃の自分と重なったからかもしれない。