その後お医者さんが診てくれたけれど特にこれといった悪いところは見つからず、環境の変化による疲れが出たのだろうと診断された。
 お医者さんが寝室を出ていき二人きりになるとリューはふぅと溜息を吐いた。
 やっぱりお医者さんを呼ぶほどじゃなかったのにと思ったけれど、彼の深刻そうな顔を見たら言えなかった。
 
「あの、心配おかけしました」
「……」

 ベッド脇の椅子に腰掛けた彼にそう声をかけたけれど返事がなくて。

「リュー?」
「……この世界は、辛いか?」
「え?」

 思ってもいなかった言葉に小さく声が漏れた。

「コハルがこの世界に馴染もうと懸命に努力してくれているのは知っている。とても嬉しく思っている。……だが、もしこの世界での生活が辛かったなら、向こうの世界に戻ってもいいんだぞ」

 その力ない声を聞いて目を見開く。