おそらく寝室へと向かっているリューを見上げ私は言う。

「リュー、恥ずかしいからもう下ろしてください!」
「体調が悪いと、なぜ言わなかった」

 その声からはやはり怒気が感じられて言葉に詰まる。
 と、彼は近くにいたメイドさんに声を掛けた。
 
「身体を冷やすものを寝室へ。それとセレストに医師を呼ぶよう伝えてくれ」
「は、はい! すぐに!」

 そのメイドさんが急いで駆けて行くのを見て慌てる。

「お医者さんを呼ぶほどじゃ」
「いつからだ」

 遮るように更に訊かれて、正直に答えていく。

「……起きた時にちょっとおかしくて、でもメリーに癒しの魔法をかけてもらって治ったと思ったんですが」

 するとリューは眉間の皴を更に深くして黙ってしまった。

 ……これは、ひょっとしてかなり怒っているのかもしれない。
 自分から参加したいと言っておいて、こんな醜態を晒して、大事な会議を中断させてしまった。
 情けないったらない……。