――覚えていろ――

  ――必ず……必ずオマエを――


「――っ!」

 ハっと目を開ける。
 まだ夜が明けていないのか視界が暗い。
 ずっと息を止めていたかのような苦しさを覚えて深い呼吸を繰り返す。
 ……何か、嫌な夢を見ていたのだろうか、内容は覚えていないけれど酷い寝汗をかいていた。
 ゆっくりと首を回すと傍らにリューの穏やかな寝顔があって少しほっとした。

(あ、れ……?)

 異変に気付いたのは身体を起こしたときだった。
 なんだか全身が重怠い。顔が火照って、頭がぼうっとする。

(嫌だな。もしかして熱ある……?)

 昨日うだうだと悩み過ぎたのかもしれない。
 きっと知恵熱みたいなものだろう。
 気にせず身体を動かしていればすぐに良くなるはずだ。
 そう思って、私はリューを起こさないよう静かにベッドから下りた。

「コハル……?」
「あ、ごめんなさい。起こしちゃいました?」

 振り返ると、リューが寝ぼけ眼でこちらを見上げていた。