メリーが憤慨したように続ける。

「アイツ、コハル様に帰って欲しくなくて聖殿を壊したんじゃないですか!?」
「まさか……」

 そう笑おうとして、うまく笑えなかった。
 もしかして、ティーアもその可能性を考えて私とメリーだけにこの手紙を聞かせたかったのだろうか。

「……で、でも、私がこの国に来た日の夜は、リューは私と一緒に寝てたし」

 そうだ。あの日、初めての夜、抱き枕のようにされてなかなか眠れなかったのだ。
 それにリューは花の国で再会したあの日、戸惑う私に「たまの里帰りは許可するぞ」と確か言っていたではないか。
 だから、リューのはずはない。

「では、一体誰が……」
「……」

 私をこの世界に留めておきたい誰かの仕業……なのだろうか。
 ティーアの言う通り、なんだか嫌な予感がした。

 トントン、とそのときドアがノックされてビクっと肩が震えてしまい隣ではメリーが大きく飛び上がった。

「は、はい」
「失礼いたします。コハル様、お茶をお持ちしました」

 入ってきたのはローサたちでほっと胸を撫でおろす。
 私はその手紙を封筒に戻し、棚の引き出しに仕舞った。

 ……このことをリューに話すべきかどうか、迷っていた。