「リュー、私この世界の文字を習いたいです」
「文字を?」

 リューがティーカップを持つ手を止め、目を瞬いた。

「はい。――あ、あと、これからリューの出席する会議には出来る限り私も参加させてください」

 意気込んで続けると彼はカップを置いて不思議そうに訊ねた。

「それは、構わないが……急にどうしたんだ」
「昨日も少し話しましたが、私この世界のこと、この国のことをもっと知りたいんです」

 ――竜帝妃として、リューの隣でその名に恥じぬような人間になるために。

「図書室の本をお借りして自分で調べようとも思ったんですが、結局文字が読めないとどうしようもなくて」

 苦笑しながら言う。
 そう。やはり何よりもまず今の私が覚えなければならないのは文字の読み書きだ。
 読み書きが出来なければ、こうして届いた手紙を読むことも、返事をすることも出来ない。