「都だけでなく、これからコハルと色々な場所に行ってみたいな……」
「そうですね。これから色んな場所に連れて行ってください、リュー」
「……」

 返事がなくてふと見れば、リューはすでに寝息を立てていた。
 今日は色々あり過ぎて私も疲れたけれど、彼もきっと同じくらい疲れたのだろう。
 静かに起き上がってその身体に毛布を掛け直す。
 7年前の少年を彷彿とさせるその寝顔を見下ろして、笑みがこぼれた。

「おやすみなさい、リュー」

 小さく呟いて再びその隣に横になると、すぐに睡魔がやってきた。

 今日は本当に色々あったけれど、私の中で決定的に変わったことがある。
 それは、「覚悟」だ。


 私はこの日漸く、この異世界で竜帝妃として生きていく覚悟を決めたのだった。