すると、彼は少し間を開けて言った。
「今度、ふたりで都に行ってみるか」
「え?」
見るとリューはなんだか悪そうな笑みを浮かべていて。
「お忍びデートというやつだ」
「!? で、でも、私はともかくリューはすぐにバレちゃうんじゃ……」
そう言いながら、“お忍びデート”というワードにドキドキした。
「実は都へは秘かに何度か足を運んでいてな」
「えっ」
「軽い変装で案外バレないものだぞ。……だが、ふたり一緒となると最大の難関はセレストだな」
「あー……」
確かに、セレストさんに内緒でふたり一緒に出かけるのは結構難しい気がした。
「だがあいつも完璧ではない。いつか隙をついて城を抜け出そう」
「はい」
私は笑って頷く。
(リューとお忍びデートかぁ)
あの賑やかな街中を変装したリューと一緒に回ったらきっとハラハラするだろうけれど、それ以上にめちゃくちゃ楽しそうだ。