「300歳!? エルが!?」
「ああ、確かそのくらいだと聞いている」

 寝る前にリューからエルの実年齢を聞いて、私は大きな衝撃を受けていた。

(あのエルが、300歳……)

 見た目は今の私とそう変わらなそうなのに。
 リューが寝返りを打ち仰向けになって続ける。

「奴ら妖精は千年生きるとも言われているからな」
「千年!?」

 またしても素っ頓狂な声が出てしまった。

(あー……でも、それだけ長く生きているなら、あの雰囲気も納得かも……)

 笑顔でひらひらと手を振るエルを頭に浮かべながらそう思った。
 あの全部見透かしたような、どこか達観したようなところも300歳だというなら頷ける。

「そっか……だからリューのことも『竜帝くん』なんて呼び方してたんですね」

 ふと思い出して言うと、リューの天井を見つめる目が剣呑なものになった。

「奴は父上のことも『竜帝くん』呼ばわりだった」
「え」
「妖精王だがなんだか知らんが、なんて失礼な奴だと幼心に思ったものだ」