「あまり、見ないでください」

 部屋に照明がなくて心底良かったと思った。
 それでも淡い月明かりのせいで私の身体は彼の目にしっかりと映っているのだろう。
 
「とても綺麗だ」

 綺麗な顔で言われて、たまらなく恥ずかしくて……でも、嘘でも嬉しかった。
 壊れ物を扱うように優しく触れられて、全身にキスを落とされて、またあの妙な声が出てしまいそうになる。

「――コハル、声を」
「っ!」

 耳元で響いた低音に、ぞくぞくと身体が震えた。

「コハルの声が聴きたい」

 固く結んでいた唇をキスで解かれながら不意を突くようにまた触れられて高い声が漏れた。
 自分の喉からこんな声が出ることが信じられなくて、でも一度出てしまったらもう抑えがきかなくなった。
 消えてしまいたいくらいに恥ずかしいけれど、そんな気持ちも次第に麻痺していく。

 リューが服を脱いで、その鍛えられた男の人の身体を目にして今更逃げ出したくなる。
 そんな私の緊張が伝わってしまったのだろう。彼は優しく微笑んで啄むような甘いキスをくれた。