「リュー」
「ん?」
「今夜、私を抱いてください」
「――っ!?」

 自分でも驚くほど自然に、そんな言葉が出ていた。
 彼がびっくりしたように身体を離して私を見つめる。

「……いいのか?」

 戸惑うように訊かれて、私は苦笑しながら答える。

「全然うまく出来る自信はないんですが、私も、その、もっとリューを知りたいと、思って……」

 でも言いながら急に恥ずかしさがこみ上げてきて、まともにその顔が見れなくなった。

「コハル、」

 名を呼ばれて、顔を上げた途端だった。

「ん……っ!」

 噛みつくように口づけられて、目を見開く。
 頭の後ろをしっかりと支えられて、こじ開けるようにして強引に舌が入ってきて身体が強張る。でも、精一杯そんな彼に応えていく。
 それはこれまでで一番激しく長いキスで、息も上手くつけなくて、彼の唇が離れていったときには全身の力が抜けていた。

「!」

 彼はそんな私を軽々と抱き上げると部屋にあった小さなベッドに優しく下ろしてくれた。
 そうしてまたキスを落とされて、私は慌てる。

「――ちょっ、と、待ってください」

 もしかして、このままここで……!?
 今夜、寝室でというつもりだった私は流石に焦って彼の胸を押しやった。でも。

「もう、待てない」
「……!」

 その両手を優しくベッドに縫い留められて、熱を帯びた瞳に見下ろされて、私はもう逃げられないのだと悟った。