「コハル……」

 リューの金の瞳が大きく見開かれる。

 吐き出した言葉と一緒に、私の両目からはボロボロと涙が零れ落ちていた。
 泣きたいわけじゃないのに、止まらない。
 怒りとは違う、このぐちゃぐちゃとした感情は一体なんだろう。
 わからない。

 ただ、今リューから突き放されて、喉の奥がどうしようもなく痛くて苦しい。

 これが、「恋」や「愛」の痛みというやつなのだろうか。
 誰かに恋をしたことも、誰かを愛したこともないからわからない。

 でもきっとこれは、「恋」とか「愛」とかそんな綺麗なものじゃない。
 私は誰かに必要とされて、誰かに愛されたかっただけで。
 必要とされていると思っていた会社をあっさりとクビになって、空っぽになったところに丁度よくリューが現れて、その隙間を埋めるように愛してくれたから。
 結局、私は彼に縋っただけなのかもしれない。