「俺は、コハルの嫌がることばかりしてしまう」

 リューが、力なく続ける。

「お前に相応しくあろうと、大切にしたいと思うのに、7年が経っても結局俺はあのときのガキのままだ」
「……なんですか、それ」

 私が小さく掠れた声を出すと、彼はもう一度ゆっくりとこちらを振り向いた。
 そんな彼を睨むように強く見つめて、この胸のもやもやを全部ぶつけるように私は声を荒げた。

「妖精の国へ行くくらいなら、元いた世界に帰りますよ! なんで私がまたこの世界に戻って来たと思ってるんですか!」

 貴方が来いと言うから。
 約束しただろうなんて言うから。

 俺の元へ来てくれてありがとうなんて、
 ずっと待っていたなんて、言ってくれたから。

 ……こんな私を必要としてくれて、嬉しかったから。

 だから、悩みながらもこの異世界で暮らす覚悟を決めようとしていたのに。

「リューが要らないと言うなら、今すぐに私を元の世界に帰してください!」