それに、本当に気分転換になった。
都の様子を見ることが出来たし、リューがこの国の人たちから愛されていることも知ることが出来た。――私がどう思われているのかも。
でも前方を見れば、お城まであと少しで流石にそわそわとしてくる。
(リュー、私がいなかったことに気付いてるかな)
私が城を出ていたのは1、2時間ほどだろう。
ぱっと見た感じでは城の様子はさっきと何も変わっていないけれど……。
「はーい、到着」
そう軽く言って、彼は私を先ほどまでいたバルコニーに下ろしてくれた。
でも彼は私の手を握ったまま、バルコニーの向こうにふわふわと浮いていて。
「じゃあ、僕は帰るとするよ」
「えっ、少しの間お城にいるんじゃ」
「うーん、コハルのことが心配で来たけど、思ったより平気みたいだし。それに僕がお城にいたら皆に気を遣わせてしまいそうだからね」
相変わらず気まぐれというか、リューの言葉を借りるなら完全に振り回されている気がした。