【Web版】聖女の力を失った私が、愛されてもいいんですか?

 かなり年を召しているのか、杖を横に携えており、髭を整えながらコルネリアを品定めするように見つめてくる。
 普通の令嬢であればそこまでまじまじと見つめられて、しかも少々眉をひそめながら嫌なものでも見るかのようにされると居心地が悪いが、コルネリアにとっては特に何の不快感もなかった。
 それほど彼女の感情の欠け落ちは残ってしまっている。

「ヴァイス公爵はいらっしゃらないのだろうか」
「夫は仕事で王宮に出ております」
「いつ頃戻られるのかな?」
「私にはわかりかねます」

 コルネリアはここに来て数日であったし、レオンハルトもまだ仕事から帰る時間などを詳細に教えてはいなかった。
 彼女の負担をなるべく軽くしたいという思いからであったが、今回はそれが仇となったのだ。

「北方の領土権利の申請書について伺いたいのだが」
「私にはわかりかねます、申し訳ございません」
「この紅茶は北方のものかね?」