今、夕方なのだからそうではないのか、と自分に改めて問うてみるが、やはりその真理は変わらない。

「僕の顔に何かついてる?」
「レオンハルト様……今日、何の日かご存じですか?」

 そう言われて顎に手を当てて考えてみるが、今日が何の日かわからない。
 彼女の誕生日でも、自分の誕生日でもない。
 ましてや結婚記念日などでもないし、心当たりがない。

 しかし、そこまで考えてようやくコルネリアの言っていたことを理解した。

「新月の日……か……」
「はい……ちゃんと戻っているのでしょうか……」

 確かにそうだ。
 呪いを解いてから初めての新月は今日──

 コルネリアはひとときも目を離さないというようにレオンハルトを凝視する。
 さすがに居心地が悪くて、よさないかと声をかけるが、彼女はやめる気配がない。
 仕方ないか、と言った様子でレオンハルトはコルネリアの腕を掴むと、そのまま抱きしめる。

「──っ!! レオンハルト様っ!!」
「ほら、こうしてればずっと一緒でしょ」
「でも、もし子供の姿になったら……!」

 あられもない姿の彼を想像してコルネリアは思わず目をつぶる。