「言われなくとも帰る! くそっ! 絶対に許さないからな、こんなことをしてミストラル国を敵に回したらどうなるか……」

 暴言の数々を言い続ける彼に、レオンハルトは冷たく言い放った。

「あ、きっともうあなたの戻る場所はないですよ?」
「……は?」
「リュディー、そうですね?」
「はい、ミストラル国王にこのことを全て伝えております。もちろん、黒魔術師との関係も全て」
「なっ!!」
「と、言うことだそうですよ。今頃あなたの王位継承権、そして国への永住権も剥奪されているかもしれませんね」

 その言葉を聞き、リストはついに全ての終わりを悟ったのか、その場にへたり込んだ。

 すると、クリスティーナがリストに向かってすたすたと歩いていく。

「王女殿下っ!」

 リュディーの言葉に大丈夫と返答を返すと、そのままリストと目を合わせる。

「我が国を危機にさらすところでした。それに、あなたは私の大事な人たちを傷つけた。国を背負っていた者として恥を知りなさいっ!!」

 クリスティーナの右手がリストの頬を激しく打つ。
 コルネリアはそっと彼女の傍に駆け寄って、涙ぐむ背中を優しく撫でた──