「だって、好きなんでしょう? 王女殿下のこと」
「なっ!!」

 珍しく狼狽する彼を見て、自分の推測は正しかったのだと思った。
 おそらく彼女だけではない、クリスティーナも彼のことを想っているのではないかと感じているが、それはわざと言わない。
 急にわかりやすく焦り出し、カップを拭く手が早まる。

「このままだと、クリスティーナ様、結婚しちゃいますよ?」
「いや、俺は別にその……」

 素の彼になりかけているのか、焦っているからか、「俺」と呼んでしまっている彼を見て、少し微笑ましく思う。
 レオンハルトには比較的軽口を叩くが、コルネリアにはまだ遠慮しているところがあった。
 彼女自身、自分にも素の彼で接してほしいなと思っていたため、少し嬉しくなった。
 正直なところ、コルネリアだけではなくレオンハルトも二人の想いに気づいていたが、なかなか立場上首をツッコむこともできずにいる。

「コルネリア様、その……俺は、王女殿下には幸せになってほしいと思っています」
「ほらっ! やっぱり好きなんですね!?」