コルネリアは自身の手を見つめながら話を続ける。

「私は、もう誰も傷つけたくない。だから、この力を使って、取り戻して、お金を儲けようとか、無意味に使って悪用しようとか考えていません」
「なら、どうする? 君は、その力をもう一度手に入れてどうするの?」
「守りたいです。この力で、私の好きな人を、レオンハルト様を守りたい。救いたいっ!」

 レオンハルトはベッドから立ち上がって、彼女を厳しい目で見つめながら言った。

「できる保証はあるの? 聖女の力が呪いに通用するとは限らない。それでも君は命をかけて僕を救いたいというの?」

(そう。聖女の力がこの呪いに効果があるかどうか、確実じゃない。一時的に効果を止められたという前回のことがあっただけ。でも……)

 コルネリアはレオンハルトに食い下がる。

「私はもう目の前で人が死ぬのを見たくないっ! 可能性を捨てたくないっ!!」

 その言葉を聞き、レオンハルトは今度は一転して優しい微笑みを浮かべた後、彼女の頬を撫でる。

「そうか、じゃあ、私も精一杯呪いと闘うと誓う。だから、私を救ってくれるかい? コルネリア」