「ええ、シスター長とお話をしたくて……いいえ。自分と向き合いたくてここに来ました」

 そう言ったコルネリアの目をじっと見つめると、皺をくしゃりとさせて微笑んだ。

「ええ、お話しましょう。たくさん、あなたの小さかった時の話も」
「はいっ!」

 二人は近くの椅子に座って語り始めた。

「私は、私の聖女の力はどうしてなくなったのでしょうか」
「…………」

 眉を寄せて難しい顔をするコルネリアの頭を、そっとシスター長が撫でる。

「シスター長?」
「あなたはとてもいい子だった。無邪気で大人に笑顔を向けて」
「……」
「でも、周りの子とはなかなか遊ばない子でね、遊びに誘われても急に心を閉ざしたかのように引きこもってしまう。そのうち他の子も誘わなくなって、あなたは一人でいるようになった」

 コルネリアはいい意味でも悪い意味でも他と違っていた。
 大きな聖女の力を持ったことで、人には崇められ、そして羨ましがられ、最後に嫉妬される──

「ルセック伯爵に引き取られて、大事に育てられるのであればそれでいいと思っていたわ。伯爵令嬢として良い育ちをして、良い人と添い遂げて……」