「ええ、リュディーが地下室に立てこもったローマンを追い詰めるために怪我を負ったけど無事よ」
「よかった……」

 そう言うと、クリスティーナは静かに首を振った。

「でも間に合わなかったのよ」
「え?」
「…………リュディーが駆け付けたときにはもう、人質はローマンに殺されて亡くなっていたの」
「──っ!!!!」

 コルネリアは息が止まるような思いがして、絶句する。
 目を閉じたクリスティーナの頬に涙が伝う──


「人質の犠牲を重く受けとめたレオンハルトは騎士団長の任を降りた。そのあと怪我が原因でリュディーも前線から外れることになったの」

 自分の夫とその友人にそのような辛い過去があったことを知り、コルネリアは胸が苦しくなった。

「そして、半年前に恐れていたことが起こったのよ」

 壊滅したかに思えたシュヴェール騎士団が息を吹き返して、ここ数ヵ月の犯罪をおこなっているのだという。
 王国は早急に王国騎士団を派遣して鎮圧に向かうも、どの現場でも苦戦を強いられている。

 コルネリアは自分の頭の中で導き出した結果をクリスティーナに話す。

「もしかして、レオンハルト様の呪いは……」