「コルネリアっ!!」
「レオンハルト様っ!!」

 レオンハルトの呪いをコルネリアが撥ねつけたあの日から丸二日が経ち、ようやくレオンハルトが目を覚ました。
 昔の記憶にうなされた彼はコルネリアの姿を必死で探して屋敷を裸足で彷徨い、そして彼女を見つけて抱きしめたのだ。
 一時期は聖女の力を使ったコルネリアもそのまま倒れてベッドで眠っていたが、翌日に目を覚まして夫の回復を待ち続けた。

(よかった……よかった…………)

 夫婦は長い長い期間離れていた後の再会のように、お互いを強く抱きしめて心を通わせる。
 安堵の表情を浮かべたコルネリアは、そっと彼の背中を撫でて何度も名を呼ぶ。
 そんな様子を少し離れた場所に立っているテレーゼは、大粒の涙を拭いながら見守った──



◇◆◇



「レオンハルト様っ!! お約束したではありませんか!!!」
「守った、守ったっ! きちんと守ったよ!!」
「い・い・え!!!」

 テレーゼは廊下のほうから聞こえてくる声にふと手を止めて顔をあげる。