ジルドが止める間もなく、レオンハルトはベッドから飛び出て裸足のままコルネリアの部屋へと向かった。

(コルネリアっ!!)

 彼の両親は結局事故でそのまま亡くなった。
 レオンハルトはアンネが咄嗟に守った影響で軽傷で済み、数日で回復したが、精神上に大きな傷を残した。

(コルネリアっ! コルネリアっ!!)

 遠い意識の中でレオンハルトはコルネリアが呪いを抑え込んだことを感じ取っていた。
 聖女の力が戻ってきているとは知っていたが、いきなり呪いのような負担の大きなものと闘えば、体力も消耗する。
 もしかしたら彼女に何かあったのではないか。
 彼女まで両親のように失っては、もう生きていけない。
 そう思いながら廊下をひた走った──


「コルネリアっ!!!!!」

 いつもとは違う荒々しい様子の彼に、部屋の中で本を読んでいたコルネリアは驚いて思わず立ち上がる。

「レオンハルト様……っ!!」

 コルネリアは彼が目を覚ましたことに驚き、そして安堵した。
 そしてレオンハルトも彼女がいたことに安心して、そのまま抱きしめた。