チャール伯爵から招待状を受け取ったルセック伯爵と伯爵夫人が、ようやく重い腰を上げて恐る恐る王宮に向かったのがその数日後。
 王宮へ向かうとすでに待っていたかのように衛兵がこちらに、という様子で案内をする。
 そして二人が連れて来られたのは、なんと並の貴族では到底足を踏み入れることのできない、謁見の間であった。

「「──っ!!」」

 そこにはすでにレオンハルトとコルネリアが玉座下の横に控えており、ルセック伯爵夫妻との久々の再会となった。
 二人の様子を見てさらに居心地の悪そうな表情を浮かべるルセック伯爵と夫人は、そっと案内された場所に立つ。

 すると、そこに堂々とした出で立ちで国王があらわれると、レオンハルトたち、その場にいた皆が一斉に恭しく礼をする。
 国王はそれらを一瞥して玉座に着くと、話を始める。

「ルセック伯爵、ならびに伯爵夫人。ここに呼び出された理由はわかるな」
「は、はい……」

 ルセック伯爵は事前の招待状という名の勧告書によって、コルネリアへの虐待についてを咎められることを知っていた。