コルネリアは直感的に彼女が自分を育ててくれた人だ、と気づいた。

「行っておいで」
「……はい」

 レオンハルトに促されてコルネリアは、涙を流しながらこちらを向いて手を広げているシスターの元へと駆けだす。
 再会を喜ぶ二人は十数年ぶりに会ったことでぎこちなさはあるものの、本能的に覚えている雰囲気が彼女ら時を昔に戻させる。

「コルネリア、会いたかったわ」
「私を育ててくださったシスターさんですよね、またお会いできてよかった」
「あなたが死んだと聞いた時、生きた心地がしなかったわ」
「心配をおかけしてしまい、申し訳ございません」
「いいのよ、こうしてまた会えたんだから」

 皺の増えた目元に滲む涙を拭いながら、シスターはコルネリアの背中をポンポンとあやすように叩く。
 それはコルネリアが幼い頃によくシスターにしてもらっていた動作で、意識として覚えてはいないが、身体はしっかり覚えていた。
 ほっとして懐かしい心地を得たコルネリアは、自分よりも小さくなってしまったシスターの背中をさする。

 そんな様子を少し離れた場所からレオンハルトは見つめている。