名前を呼ばれただけでドキリとする、それどころか名前を呼ぶと同時に腕を掴まれて余計に心拍数が上がる。
 顔が赤くなって、顔を逸らしてしまうコルネリアを見て、レオンハルトは確信した。

(これは嫌で避けているんじゃない、きっとこれは……)

 レオンハルトはそこまで考えると、目を少しの間閉じて覚悟をすると、瞼を再び開いてコルネリアの目を見つめて言った。

「コルネリア、僕は君のことが好きだ」
「──っ!!」
「僕はずっと待つよ。だから、君は君の思うように行動すればいい。そして僕はこれから遠慮しない、覚悟して?」

 コルネリアはその言葉に少しきょとんとしながら、黙って頷いた。
 レオンハルトはいつものようにそっと彼女の頭にポンと手を置くと、優しく微笑んだ。


(コルネリア、恋はね。自分で気づかないと意味がないんだ。だからね、僕は今から君に意地悪をする。君が気づくまで、僕はそっと傍で見守る。ただ、君に真っ直ぐな愛を注ぎ続けながら……)


 レオンハルトは自分の気持ちを押し付けたり、感情を無理矢理に教えることはしたくないと思った。