二人だけの空間になると、やはりどこかよそよそしい反応をするコルネリアを確認して、レオンハルトはそのまま彼女との距離を詰める。

「──っ!」

 レオンハルトの予想通り、コルネリアは今までのように目を合わせずすぐさま一歩引く。

(何……? 感情が変、ぞわぞわする。レオンハルト様とずっと目を合わせられない)

 コルネリアは自分自身に生まれた新しい感情に戸惑いを覚え、そしてそれをどう処理して良いかわからずにいた。
 パーティー会場で見たあの光景が忘れられず、そしてレオンハルトを自分だけのものにしたいと思った。

(おこがましいですよね、レオンハルト様が他の人と話しているのが嫌なんて。なんでこんなことを思うの? なんで? どうして?)

 自分自身の心の変化についていけずに、コルネリアは自分の心を乱す原因であるレオンハルトを避けてしまっていた。
 彼を見るとドキドキして、そして感情が揺さぶられる。
 自分だけを見つめてほしい、そんな風に思ってしまうことがどうしてかわからずにコルネリアは混乱していた。

「コルネリア」
「──っ!!」