このままだとなんだか情けない顔をして、そしていつか彼を責めてしまいそうなそんな気がしたからだった──



◇◆◇



 レオンハルトはバルコニーに出て、玄関を出て行ったコルネリアを目で追っていた。

「なんか喧嘩でもしたの?」

 入口で挨拶をした以来の再会だった彼女──クリスティーナと並んで話を続ける。
 バルコニーの手すりに身体を預けると、そのまま月を眺めてふうと息をはく。

「なんか悪い事でもしたの?」
「いや、なんだろうか、その、いや、でも」
「もうっ! はっきりしなさいよ」
「嫉妬……をされた気がする」
「え?」
「マリアと話をしていたところを見られて、それで彼女はそっと近づいて僕の袖を握ってなんとも嫌そうな顔をしていた」

 その様子を聞く限りおそらく可愛らしい嫉妬なんだろうと確信したが、レオンハルトとしては納得がいかないらしい。

「僕の自惚れだったらどうしようか」
「……へ?」
「いや、だってコルネリアが僕を好き……?ってあるのかな」