「レオンハルト様、辺境の地の詳細に関しては後日手紙でお送りいたしますわ」
「ああ、申し訳ないが頼めるか?」
「かしこまりました」

 そして紅がくっきり差された形のいい唇が弧を描いた。
 レオンハルトと話していた女性は自分よりも少し小さい身長のコルネリアに深々とお辞儀をすると、コツコツとヒールを鳴らして去って行く。

 コルネリアはその上品かつ美しい、流れるような所作に思わず見とれてしまって動けなくなっていた。

「彼女は僕の部下でね、一年前から辺境の地に赴任して様子を教えてくれているんだ」
「そうだったんですか……」

 コルネリアは自分の中にあるドロドロとした嫌な感じの気配の存在になんとなく気づいてきた。

(私、レオンハルト様を独り占めしたいと思ってしまった……)

 そんな風に思ってしまったコルネリアは自分が嫌になり、レオンハルトから思わず目を逸らしてしまう。

「すみません、少し外の風にあたってきます」
「え? ああ……」


 コルネリアはそう言いながら、そっと彼の元を離れた。