「テレーゼ、一緒に、私と一緒にこの家のために、レオンハルト様のためにお願いできないかしら?」
「もちろんです。私にできることであれば、精いっぱい努めさせていただきます! 私は、ドジでのろまなメイドですが、あなた様のことを尊敬して、支えたいですっ!」

 そんな風に言われたことがなかったコルネリアは大きく感情が揺さぶられ、そして唇がわずかに震える。
 つらい過去があってもくじけずに誰かのために、自分を守ってくれた人たちのために心を尽くす。
 当たり前のように見えてそうではなく、それはテレーゼだからこそできるのではないか、とコルネリアは思った。

 日が差し込む窓の近くで彼女らはこの屋敷、そしてレオンハルトへの恩に報いる決意を新たにして、微笑み合った。
 コルネリアとテレーゼの二人三脚のマナー習得への道が始まる──