その言葉にプチンと堪忍袋の緒が切れた様子の夫人は、ルセック伯爵の向かっている机に手を叩きつけて反論する。

「あなただって偉そうになんなの??!!! 結婚してから夫らしいことなんて一つもしてくれなかったくせに、仕事仕事仕事って!!! 都合の悪い時だけ仕事を言い訳にして!! 私のこと全然見てくれなかったじゃない!!!!」
「お前も結婚してから宝石やらドレスだけで綺麗に着飾って、なんだそのみっともない身体は!! そんな女に魅力なんか感じるかっ!!!!」

 ルセック伯爵夫人は確かに結婚を期に数キロ単位ではないほど太ってしまっていたのは確かだった。
 特にコルネリアが家に来てから、聖水を売ったり、貴族の病を治して莫大な富を得てからは、いい肉を食べまくる食事をしていた。
 さらにはこの地域の特産の一つであるワインを毎日一本ずつ飲み明かし、そしてそれに合うチョコレートを食べることが日課だったのだ。
 そんな彼女が毎日少しずつ太っていくのは、それはもう予想できる範囲である──