そんな風にコルネリアが不安に思っていたところで、非常に小声でレオンハルトは言う。

「──くしてる」
「え?」
「なんか二人仲良くしてる」

 その言葉を聞いて、まあ予想通りだなと言った様子で取り合うこともなくマスターは自分の後ろにある棚から新しい豆を取り出す。
 逆にコルネリアはレオンハルトのそれが『嫉妬』だと気づかずに、首をかしげている。

「僕がいない間に二人でなんか怪しいことしてた?」
「してるか、アホ」

 自分への言葉遣いと全く違う様子で返答をするマスターに驚きつつ、二人の言葉を聞いて自分の友達であるマスターを自分にとられてしまったのではないかと勘違いしているのでは、と思い違いをする。

「レオンハルト様からマスターさんをとったりしないので安心してくださいっ!!」

「「…………は?」」

 もう勇気の限りを振り絞ってコルネリアは二人に向かって叫ぶ。
 それに対して思わず二人とも目が点になるように驚いて、固まってしまうが、コルネリアの叫びは終わらない。