彼の秘密と言い、そして意外に甘党のような情報を聞くと、なんだかより一層可愛らしい人に思えてコルネリアは頬を緩めてしまう。
 ああ、レオンハルトのことが好きなんだな、とマスターは思ったが、おそらくコルネリアのことだから自覚していないのではないかと気づき、さらにレオンハルトのことを思って口には出さなかった。
 マスターは今度は棚にあったお菓子を取り出すと、それを紺色のシックな小皿に出してコルネリアの元へと渡す。

「こちらは?」
「メレンゲクッキーです。卵白と粉砂糖で作られているので甘いんですよ」

 コルネリアは軽いふわっとした白いメレンゲクッキーをつまむと、そのまま口に運ぶ。

「──っ!!」

 口の中でふわっと溶けてしまうその食感は未体験で、なんとも言えない幸せな気持ちになる。
 こんなに儚くて甘いものがこの世にあったのか、と思うほどに美味しくそしてそのおかしの虜になった。

 メレンゲクッキーの三つ目を口に運ぼうとした時に、カフェの入り口の扉が開く音がした。

「あっ! メレンゲクッキー!」
「レオンハルト様」