「じゃあ、貸し切りか! 奥のいつもの席借りるね」
「ああ」

 マスターはかなり若そうに見える。
 ワイシャツに黒いエプロンをして長髪を後ろで一つに束ねるようにしている。
 その髪はこの国では珍しい綺麗なシルバーの色合いをしており、まるで何か神様のようなそんな神々しささえ感じる美貌だとコルネリアは思った。
 腕まくりをしてコーヒーを入れる準備をするその様子は、世の女性たちが放っておかないだろうと予想できるかっこよさがある。

「コルネリア、こっちにおいで」

 そう言われて、はっと気づき、急いでレオンハルトの座っている席の方へと向かう。
 そこはテーブル席で向かい合って座る席ではなく、L字のソファになっており、向かい合って座るよりもお互いの距離が近く聞こえる。
 レオンハルトの横にちょこんと座ると、彼が見せてくれたメニューを見る。
 メニュー表はイラスト付きで描かれており、どんな料理や飲み物なのかが一目でわかるようになっていた。

(たくさんありますが、どれもほとんど飲んだことがないものばかりですね……)