どうやらその日はその子供服で乗り切って、夜中ずっとこれからどうしようかとミハエルと今後の相談をしていた時に朝を迎えた。
 すると、今度は突然また身体が元の姿に戻ったのだという。
 ──まあ、服に関して次は子供になった時と逆のことが起こって、咄嗟にミハエルが目を逸らして気を遣ったのは言うまでもない。

 それからしばらくの時間また子供の姿になるのか、それとももうならないのか、とミハエルとテレーゼはレオンハルトの様子を見守ったが、2日経っても3日経っても、10日経ってもその現象は起こらなかった。
 何かの間違いだったのか、いやそんなわけはないと思いながら、しばらくの時が経った。
 もはやミハエルとテレーゼの中でレオンハルト七不思議の一つとなって、現象の記憶が風化しそうになったところで事件は起こる。

「一ヶ月くらい経った頃にまた同じ現象が起こったんだ」
「また、でしょうか」
「ああ……」

 レオンハルトはその日、社交界パーティーの帰り道で馬車に乗っていたのだが、突然心臓がドクンとしたような気がした。