戸惑ている私を後押ししてくれているのか、再びお腹から胎動を感じた。
さっきよりも大きく動いたからなのか、少し痛かったんだけど。

自分の気持ちに、蓋をするのはもうやめよう。


「……私も、桜川先生と一緒にいたいです。 この子の…父親になってくれますか?」

「もちろんだ。 喜んで」


そう言った桜川先生は、私を強く抱きしめた。
今度は私も、それに応える。


ーーーやっと、やっと届いた私の気持ち。


だいぶ遠回りしてしまったけれど、やっと愛おしい人のところへ戻ってくることができた。

もう絶対に手放さない。


「……ダメだな。 水姫が可愛くて、今すぐ抱きたくなる」

「えっ!? で、でも……」

「大丈夫。 今はこれだけで我慢するよ」


そう言いながら、深いキスを私に落とす。
しばらくすると、桜川先生は私の太ももを触り始めた。 身体が敏感に反応して、私も桜川先生を求めてしまう。

ダメなんだけど、今まで離れていた分触れたいよーーー。


「桜川先生……私っ…」


と、先生の名前を呼んだとき、テーブルに置いてるスマホが大きな音を立てて震えだした。
そういえば……桜川先生は仕事中だった。

そんなこともすっかり忘れて、幸せな時間に浸っていた。


「もう時間か……。 水姫、また後で続きしようか」

「えっ? 後でって……!?」


「後でだよ」とはぐらかし、バタバタと支度をして病院へ戻って行った桜川先生。

完全に不完全燃焼状態の私の目を覚ますかのように、再び赤ちゃんがお腹を蹴った。