浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】

真っ白な壁と一体化しているワイド型テレビの横には、観葉植物が置いてあった。


「……ホテル…みたい……」

「それは大げさかな。 さっき食事をしたホテルの部屋に比べたら、全然広くないよ」


そう言った桜川先生はスーツのジャケットを脱ぐと、ソファーの背もたれに掛けた。

そのままグッとネクタイを緩める姿に、ドキッとしてしまう。


「水姫、おいで?」


黒の革張りのソファーに腰かけた桜川先生は、横に座るよう促してくれている。

「失礼します」と言いながらソファーに腰かけると、テレビの大画面がダイレクトに目に飛び込む。


「すごい……! まるで映画館みたいですね!」

「ははっ、確かにそうかもしれないな。 あまりテレビを見る時間はないから、そんなに使っていないけどね」


そう言われるとそうだ。 日々桜川先生のスケジュール管理をしているけれど、いったいいつ帰宅しているのだろうと思うほどハードスケジュールだ。

今日みたいに仕事の一環としての会食も多々あるようだし、リラックスできる時間なんてないのでは……。


「本当、日々お忙しいですよね」

「まぁね。 でも、自分で選んだ道だからな、やるしかない」


さすが桜川先生。 時期医院長と言われているだけのことはある。

こんな風に言ってくれている桜川先生の秘書として仕事をしていることが、少しだけ誇らしく思えた。